警察庁は3日までに、2019年に全国の警察が摘発した来日外国人(永住者らを除く)が前年比573人増の1万1655人だったと発表した。
近年は横ばい傾向が続いている。
うちベトナム人が3365人(28.9%)、中国人が2948人(25.3%)で、この2カ国だけで全体の過半数を占めた。警察庁によると、ベトナム人の摘発は化粧品の大量万引きなど窃盗の割合が高かった。
中国人は偽装結婚や在留カード偽造が多く、不正入手した他人のスマートフォン決済サービス情報を悪用し大量の商品をだまし取る犯罪も目立った。国籍別ではベトナム、中国に次いでフィリピン746人、タイ509人、ブラジル508人、韓国454人など。
「刑法犯」での摘発は前年より281人少ない5563人で、うち殺人は10人増の48人。
「特別法犯」は前年比854人増の6092人で、うち不法残留などの入管難民法違反が4279人と多くを占めた。在留資格別では「短期滞在」が2437人(20.9%)で最も多く、他に「留学」2121人(18.2%)、「技能実習」2103人(18.0%)など。外国人の就労拡大のため19年4月に新設した「特定技能」は摘発者がなかった。
縦割り行政の弊害 不法残留者にも接種、国が通報免除…会場周辺で取り締まり行わず
厚生労働省が、新型コロナウイルスの感染防止対策として外国人にワクチン接種などを進める際、不法残留などの事実が判明しても入管当局に通報しなくてよいとする見解をまとめ、都道府県などに通知していたことが分かった。
接種しやすい環境を整え、地域社会に感染が広がるリスクを抑えるのが目的。見解を受け、茨城県大洗町は在留期限の切れた不法残留者への接種を始めた。入管難民法では、公務員に対し、国外退去の対象となる外国人の存在を入国審査官や入国警備官に通報する義務を課している。
このため、不法残留者が通報を恐れて疫学調査や接種に協力しない可能性があった。これについて、厚労省は6月28日、事務連絡の形で地方自治体に通知。それによると、強制退去の対象となる外国人にもコロナ対策を「適切に実施することが必要」とした。
その上で、公務員が通報義務を果たすと、接種などに支障が生じる場合、入管当局に「通報しないことも可能」と明記した。
ただ、通報しなくても「出頭を勧めることが望ましい」と追記した。大洗町は10月17日、在留期限の切れた外国人への接種を開始した。町内の外国人コミュニティーに呼びかけた結果、2日時点で227人から申請があり、キャンセルを除く225人が1回目の接種を終えた。
町では、外国籍住民が人口の約5%を占め、4~5月には外国人家族を中心に感染が拡大した。
町は「ここで接種を進めないと、同じような感染拡大が起きうる」として接種を決めた。出入国在留管理庁や茨城県警は、厚労省や町の対応について読売新聞の取材に対し、「コメントしない」としている。
県警は「取り締まりを緩めるつもりはない」と強調しつつ、会場周辺で接種者を狙った取り締まりを行う可能性は否定している。国士舘大の鈴木江理子教授(外国人政策)の話 「正規の滞在資格を持たない外国人の多くは、密集した環境で生活したり就労したりしており、感染リスクが高い。安心してワクチンを接種できれば彼らの生命が守られ、日本社会の感染拡大を抑制できる。ワクチン接種と取り締まりは切り離して考えるべきだ」
2021.11.03
法律の不備 不法滞在の外国人、実刑判決の半数が難民申請 現行法で送還できず
入管当局は不法就労などで国内に残留する外国人を摘発し、退去処分後に出国するまで原則、施設に収容している。
年間で約1万人は処分に応じ出国するが、本人が拒否したり、本国が強制送還に応じなかったりする外国人は昨年末時点で約3100人に上る。
このうち約2440人が病気などの理由で収容施設から「仮放免」されている。約3100人の中で不法滞在以外に罪を犯し、懲役3年以上の実刑判決を受けた人は約310人で、うち約150人が難民認定申請中だ。
懲役5年以上は約180人中約90人、懲役7年以上は約90人中約50人が難民認定申請している。たとえば、あるアジア人の男は強制わいせつ致傷罪で懲役4年の実刑判決を受け、仮放免中に強姦致傷罪(現強制性交等致傷罪)で懲役6年の実刑判決を受けたが、現在2回目の難民認定を申請している。
アフリカ人の男は恐喝などの罪で懲役2年6月の実刑判決を受け、仮放免中に強姦罪(現強制性交等罪)で懲役5年など2度の罪を犯し、4回目の申請中だという。送還停止効は入管難民法で規定され、本人から難民認定申請があった場合、審査中は本国へ送還できない。
申請には上限がなく、許可の見込みがなくても申請を繰り返す悪質なケースに対応できなかった。改正案では難民申請に2回の上限を設定。
懲役3年以上の実刑判決を受けた場合には送還できる条件も付した。
これまで法相の裁量で例外的にしか認められなかった「在留特別許可」を本人からの申請制にし、難民申請が許可されない場合の救済措置としていた。立憲民主党など野党は難民保護機能の低下が懸念されることなどを理由に上限設定に反対しているが、改正案の今国会成立が見送られたことで、悪質な難民認定申請の根絶が遠のいた形となる。
2021.05.18
トルコ人が偽装結婚で逮捕
外国人の男と日本人の女の偽装結婚をあっせんしたなどとして、トルコ国籍の男らが逮捕されました。
電磁的公正証書原本不実記録などの疑いで逮捕されたのは、トルコ国籍の稲沢市の自営業ドルムス・ムスリム容疑者(25)、北名古屋市の自称アルバイトサグル・ルドワン容疑者(30)と、近藤美津子容疑者(27)の3人です。
警察によりますと、3人は、すでに逮捕・起訴されている日本人の男と共謀し、ルドワン容疑者に長期在留資格を取得させるため、近藤容疑者とのうその婚姻届けを北名古屋市役所に提出したなどの疑いが持たれています。
警察は3人の認否を明らかにしていません。
警察は、外国人に長期在留資格を取得させるための報酬をともなった偽装結婚が、組織的に行われているとみて捜査しています。
2021.10.21
中国人が80代女性からキャッシュカードをだまし取る
東京都内に住む80代女性からキャッシュカードをだまし取り、現金を引き出したとして中国人の男と交際相手のモンゴル人の女が逮捕されました。
王延成容疑者(38)とガンボルド・フンツェンゲル容疑者(21)は先月、仲間と共謀し、大田区の80歳の女性に銀行員を装って嘘の電話を掛けて、キャッシュカードをだまし取り、現金100万円を引き出した疑いが持たれています。
警視庁によりますと、2人は交際中で同居していて、王容疑者がガンボルド容疑者を2万円の報酬で誘い、カードの受け取り役をさせたということです。
王容疑者は容疑を否認しています。
ガンボルド容疑者は「無言でカードを受け取った」と容疑を認めています。
2021.10.25
国際結婚の闇 増え続けるトラブル
あたりは、見渡す限り畑が広がっている。そんなのどかな風景の中にポツンと建った真新しいコンビニは、駆けつけた警察車両で瞬く間に騒然となったーー。
「駐車場に停められた黒い車の横で、首に刃物が刺さったままの若い女性が倒れていて救けを求めていました。通り魔の犯行だと誰かが言い出して、周囲はパニック状態でした」(目撃者)
現場は茨城県常陸太田市のコンビニの駐車場。
8月11日夜7時過ぎ、通報を受けた警察官が駆けつけると、駐車場で首に刃物が刺さった状態で倒れている埼玉県草加市在住、職業不詳のクル・咲さん(25)を発見した。
咲さんは病院に搬送されたが死亡が確認される。死因は、首を刺されたことによる頚髄損傷と出血だという。
「警察官に連れていかれたのは、コンビニの中にいたヒョロッとして背の高い外国人男性でした。両腕、右脚にタトゥーを入れており、服に血のようなものがついていました」(前出・目撃者)
◆離婚率は50%以上 警官に殺人の疑いで逮捕されたのは、トルコ国籍のクル・メメット容疑者(29)だ。
メメット容疑者と咲さんは夫婦で、草加市内に同居していたと見られている。 「メメット容疑者と咲さんは、一緒にBMWのSUVでコンビニに来た様子が目撃されています。
咲さんは運転席、メメット容疑者は助手席に座っていたようです。その後、メメット容疑者は車を降りてコンビニに入り、警察を呼ぶように店員に訴えていたとか。
事実上の自首です。その間、咲さんも車から降りて救けを求めており、居合わせた人が警察に通報しました」(全国紙社会部記者) メメット容疑者は犯行について「やったことは認めます」と言い、また「死ぬとは思わなかった」とも供述しているという。
メメット容疑者もケガをしており、車内には血痕が。車の中で言い争いになり、刺したものとみられている。
目撃した人によると、警察を呼ぶように訴えていたメメット容疑者の日本語はあまり流暢なものではなかったという。取り調べも通訳を介して行われているようだ。
二人が結婚したのは昨年2月で、まだ日本に来て日が浅かったのだろう。元神奈川県警刑事で、犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が語る。 「国際結婚した夫婦のトラブルは、近年増えています。
厚生労働省によると、20年の離婚率は日本人同士が約35%に対し、国際結婚は51%ほど。しかも、5年以内の離婚が大半なんです。出会った当初は仲睦まじくても、結婚して家族と同居するようになると、文化習慣の違いから様々な問題が生じます。
日本に来て日の浅い外国人は、国際結婚してうまくいかなくても、相談する相手がいない場合が多い。
もちろん今回のケースは稀なものです。そうした事情があったか現時点では不明ですが、メメット容疑者の場合、自ら通報したのも他に連絡する先が思いつかなかったという背景もあるのでは」 メメット容疑者が咲さんと出会ってから殺害に至るまでの詳しい経緯は、まだ明らかになっていないが、これ以上悲痛な事件が起こらないようにするためにも、その背景を解明することが重要だ。2021.8.21
外国人犯罪の陰にマフィアの存在がある
外国人の不良グループ「外国人マフィア」の存在が注目を集めている。 群馬県や栃木県の農家に侵入して豚や牛、鳥といった家畜を窃盗していたベトナム人、東京・新宿にネパールタウンを形成し、深夜のパーティでは違法薬物を受け渡しているネパール人、中高年女性を狙ってロマンス詐欺を繰り返すナイジェリア人、日本の暴力団の“仕事”を請け負っては裏切ることまで平気でやってのけるフィリピン人、暴力団さえも手出しできず売春地帯を取り仕切るブラジル人――。
彼らはいった何者か。
どのくらいの勢力が、どこで、どんなシノギをしているのか。
警察ですら実態の正確な把握に苦慮する中、フリーライター真樹哲也氏の『ルポ外国人マフィア 勃興する新たな犯罪集団』(彩図社)が発刊され、話題を呼んでいる。真樹氏に話を聞いた。
同書は、書名にある通り「ルポ」である。真樹氏は、外国人マフィアとの接点を探り、見つけだし、直接会い、話を聞くことを繰り返した。もちろん取材は身の危険と隣り合わせだ。ネパール人マフィアからはハンマーで威嚇され、ベトナム人マフィアからは「殺すぞ」と脅され、巨漢のナイジェリア人マフィアには筋弛緩剤を飲まされた。 「実を言うと、途中で、もう止めたいと何度も思いました」と言う。やり方を間違えれば命そのものを失いかねない。本が出ればちょっとした印税が入るとはいえ、「割に合わない」と感じたのだそうだ。彼はハンマーを振りかぶり……
――そもそも、なぜ外国人マフィアを取材してみようと思ったのですか。
数年前から外国人による犯罪がたびたび報じられるようになっていて、私の身の回りでも「外国人不良グループが暴れ回っている」という話が飛び交うようになっていました。
犯罪そのものは悪ですし、許されることではありません。ただ、私はなぜ彼らが日本にいるのか。どうして犯罪に手を染めるのか。
そこが気になっていたんです。それで実際に取材をしてみようと、2018年頃から動き出しました。――身の危険を感じるような局面もあったようですね。
一歩間違えたら命を落としていたな、という局面が何度かありました。でも、それ以上に驚きと発見もあったのです。
ネパール人マフィアが出入りしていると言われていた東京都内のネパール料理屋に一般客を装って行った時のことです。カレーを注文して席で待っていると、さっきまで私の隣で食べていたネパール人が立ち上がり、キッチンに入って汚れた皿を洗い始めました。またある客は食べ終えた後、会計もせずに出て行ってしまいました。店員はそれを咎めもしない。
後からわかったのですが、その店は彼らのアジトでした。
看板と事務所を掲げる日本の暴力団と違い、ネパール人のマフィアは姿を隠します。
飲食店を営んでいれば就労ビザが降りるし、飯が食えないネパール人の仲間がいれば店で飯を食わせることもできる。なるほどなあと。
新宿の新大久保といえばコリアンタウンで有名ですが、実は今、この街はネパールタウンの色合いが濃くなっています。
取材で信頼関係を得たネパール人マフィアの1人から、新大久保の某ネパール料理屋で開かれるパーティのことを教えてもらい、行ってみることにしました。店内はライブハウス化し、ステージではネパール人歌手が熱唱、観客はハイテンションで盛り上がっていました。渋谷や六本木のクラブさながらの光景です。私は隅の席で1人飲んでいたのですが、不意に、ある場面を目撃してしまいました。白い袋と現金を交換する人たちがいるのです。とても慣れた所作で。おそらくは違法薬物でしょう。
――それで、ネパール人マフィアの中心人物に直撃したのですね。 はい、2019年8月のことでした。「ネパール料理店から売上の一部をもらったり、薬物売買、ドラッグなどはやったりしませんか? 日本のヤクザと会うことはありますか?」と質問をぶつけました。
彼の表情はみるみる変わり、奥の部屋に消えていったかと思うと、右手にハンマーをもって帰ってきました。
近くの女性が悲鳴をあげて制止したのですが、彼はハンマーを振りかぶり、そのまま私の顔の隣の壁にすごい勢いで打ち付けたのです。心臓が止まるかと思いました。彼は言いました、「帰ってくれ、日本人には悪いことはしない」と。
私は、震える身体を抱きかかえるように店を出ました。2021.08.10
インド国籍の男性が女性に性的暴行!
外国人と知り合えるとうたう海外のマッチングアプリで知り合った外国籍の女性に性的暴行を加えたとして、警視庁組織犯罪対策2課は30日、埼玉県に住む22~25歳のインド国籍の男3人を強制性交の疑いで逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。
逮捕容疑は共謀して、8月9日未明、東京都内の外国籍の30代の女性方で、女性に対して、相次いで性的暴行を加えたとしている。
捜査関係者によると、男の1人と女性はマッチングアプリを通じて出会った。男が女性に性的関係を求めたため、女性は連絡を絶ったが、別の男がマッチングアプリで再び女性に連絡をとり、3人で無理やり性的関係を迫ったという。
マッチングアプリは恋愛や結婚などの出会いを目的としたアプリだが、詐欺や性的暴行事件に悪用されるケースも相次いでいる。
2021.8.9
「愛してる」は嘘! 外国人 結婚詐欺
愛してる、美しい、大好き
実際、トルコ人不良グループによる詐欺被害に遭った日本人女性にも話を聞くことができた。
彼女は50代とは思えない若々しさで、女優の吉瀬美智子似の美人。30代で離婚し、女手ひとつで娘を育て上げたという。 「元夫には養育費を一切もらえませんでした。
私たちの都合で離婚したから、娘にだけはつらい思いをさせたくなかったし、金銭的にも苦労だけはかけないようにしようと、これまでは仕事ばかりの毎日でした。
娘が大学を出て自立したのを機に男性との出会いを求めて、3年ほど前、マッチングアプリに登録しました。
それまでもいろいろと声をかけてくれる男性はいましたが、今年に入ってすぐ、私みたいなオバちゃんにも、愛してる、美しい、大好き、とメッセージをくれる男性が現れ、失われた青春を取り戻せるような気がしました。彼が30代のトルコ人でした。
かなりのイケメンで、メッセージをやり取りしているうちに、すぐに好意を持ちました。彼はトルコに離婚した奥さんと子どもがいて、生活費を支払うのが大変だと話していたんです。自分は元夫から何の援助もなくて苦労してきたから、彼を家族思いの素敵な人なんだと思ってしまい……」
映画のような恋をしている
離婚歴や子どものことなどを話す様子に、むしろ誠実さを感じたという。
「娘が自立したので経済的にも余裕ができていたこともあり、困っている彼のためにと、一度も会っていないのに、指定されたトルコの口座へ何度か30万円を振り込んでしまいました。『ロマンス詐欺』という言葉も知っていましたし、少し怪しいとは思いましたが、イケメンの外国人男性と映画のような恋をしている、という現実をあきらめたくなかったんです。
ロマンス詐欺はお金を振り込むだけで1度も会わずに終わることが多い、と聞いていたのですが、彼とはお金を振り込んだ後に2回会ったので、“これは詐欺ではない”と自分自身に言い聞かせていました。彼とは食事をしてホテルに行き、体の関係も持ちました。
そのときに結婚しようと言ってくれて、とても幸せだったんです。でも、5月になって日本で飲食店を経営したいと言う彼に100万円を渡した後から、電話もプーッ、プーッと鳴るだけでつながらず、メールも宛先不明で戻って来てしまう。マッチングアプリのアカウントも消え、連絡が取れなくなりました。彼には総額で200万円ほど渡しています」 「だまされたと気づいた」と話す一方で、警察に訴えるつもりはないという。
「今でも彼の気持ちが嘘だとは思えない」と、あきらめきれない気持ちものぞかせる。
この女性を人が好すぎると思う方も多いかもしれない。しかし、彼女のような寂しさを抱える女性の心には、詐欺師の「優しさ」がするりと心の隙間に入ってくるのだろう。 真樹哲也 1985年、北関東生まれ。裏社会に入り込んで取材をし、アンダーグラウンド記事を書くことを得意としている。
近著『ルポ外国人マフィア 勃興する新たな犯罪集団』(彩図社)が好評発売中。 デイリー新潮取材班編集 2021年10月19日 掲載
外国人による結婚詐欺に注意!
近年、外国人男性が日本人女性から金をだまし取る「国際ロマンス詐欺」が話題になっている。出会い系サイトなどで日本人女性と知り合い、メールや電話で恋人や婚約者になったかのように振る舞って、金銭を送金させる振り込め詐欺の一形態だ。コロナ禍で海外旅行もままならず、外国人との恋愛や結婚に憧れる日本人女性がSNSを活用して外国人との出会いを求めることも多く、詐欺被害に遭う女性も相次いでいるという。
このロマンス詐欺に最近、よく登場するようになったのが、トルコ人だ。「中東情勢が不安定になり、来日するトルコ人が増えていることも一因になっている」と話すのは、ロマンス詐欺に詳しい警視庁関係者だ。 「これまでロマンス詐欺で立件されていたのは、ナイジェリアやガーナ国籍の外国人が多かったのですが、この1年あまりでトルコ人の犯罪が増加しています。2014年からエルドアンが大統領に就任すると、政府に迫害され日本に逃れてくるトルコ国籍のクルド人が増えてきました。もちろん、すべてがクルド人の犯行ということではありません。真面目に暮らしているクルド人がほとんどです。しかし、日本で難民申請をしてもなかなか認められず、仕事に就くこともできないので、どうしてもドロップアウトして不良化する者が出てきます。トルコ人は日本最大のイスラム教モスクのある東京・渋谷区や、クルド難民が数多く住む埼玉県川口市や蕨市、上野や浅草などでもコミュニティを形成しており、トルコ人の不良グループは生活に困る難民などを巻き込んで、手っ取り早く金を得る方法としてロマンス詐欺を行っています」
トルコ人の顔が好き
約3000万人いるとされるクルド人は「国を持たない最大の民族」と言われ、トルコ、シリア、イラク、イランなどにまたがって暮らしている。トルコではクルド語が禁じられるなど、長年にわたって弾圧を受けており、分離独立を求めてクルド人はトルコ軍と衝突を繰り返してきた。
エルドアン大統領は、彼らを「テロ組織」とみなし弾圧を強めているのだ。実際、ロマンス詐欺に関わるクルド人は、私にこう語った。 「トルコに戻ったら死ぬしかない。同じトルコ人でも、民族によって差別される。だったら、どんな日本人の女でも相手する。日本人の女、私を可哀想に見てる。下に見てる。だから金を出す。あなたに、オレの気持ちが分かるか」 険しい表情で言葉を絞り出すように話す男性には、クルド人としての苦悩が見られた。一方、クルド人ではないトルコ人不良グループの中心的な存在の男性は、
「アプリに登録している日本人の女どもに、愛してるって言うだけでいい。実際に会うこともあるし、メールだけでやり取りして金だけ振り込ませることもある。俺は金に困ってる。トルコ人はビザなしで90日まで滞在できる。だから、その間に日本人の女性を口説き落とせばいい。日本人の女はトルコ人の顔が好きで、だましやすい。結婚すれば日本にいられる。女もハッピー。悪いことじゃない」
と、あっけらかんと語る。 「被害に遭った日本人女性は、トルコ人は妖艶でエキゾチックな顔立ちが魅力で、甘い言葉を囁かれると好きになってしまった、と話していました。彼女たちの母性や同情心につけ込んで、『軍隊を辞めたいけど、やめられない』『家族が病気で大金が必要だ』などと言葉巧みに訴えて、お金を振り込ませるんです」(前出の警察関係者)