資格のない外国人を働かせた中国人を逮捕

国から必要な許可を受けていない中国人の男女3人を不法に働かせたとして、中国人の男が神奈川県警に逮捕されました。

入管法違反の疑いで逮捕されたのは、中国籍で東京都北区に住む孫広寧容疑者です。
県警によりますと孫容疑者は、ことし4月から7月にかけて東京都江東区にある倉庫で、在留資格以外の活動許可を受けていないいずれも中国人で20代の男女3人を不法に働かせた疑いが持たれています。
孫容疑者は3人に対して雇用面接を行い、国から許可されていない医薬品や化粧品などの検品や梱包等の作業を指示していたとみられています。
県警の調べに対し孫容疑者は「逮捕された事実については黙秘します」などと話しているということです。

2021.12.3

ベトナム人が初の4千人超 来日外国人の摘発1万1756人

全国の警察が昨年摘発した来日外国人は1万1756人(前年比101人増)で、国籍別ではベトナムが最多の4219人(35%)だったことが警察庁のまとめでわかった。
コロナ禍の渡航制限で帰国できなかったり、技能実習先を解雇されたりして困窮するケースが多いことも一因とみられる。警察当局は犯罪の組織化を警戒している。

 警察庁によると、来日外国人の摘発人数は2004年の2万1842人をピークに減少したが、13年以降は増加傾向。
ベトナム人の摘発人数は13年から増えており、19年に中国人を抜いて最多となった。昨年は前年比854人増で、初めて4000人を超えた。

 昨年摘発されたベトナム人を罪種別に見ると、不法残留や偽造在留カード所持などの入管難民法違反が最多の2332人。
次いで窃盗犯が873人、暴行や傷害などの粗暴犯が145人、覚醒剤などの薬物事犯が141人だった。
全体の約6割は不法滞在の状態で、うち1324人は技能実習生として来日していた。

 次に多かったのは中国人の2699人(前年比249人減)で、フィリピン人765人(同19人増)、ブラジル人508人(同増減なし)、タイ人480人(同29人減)と続いた。

縦割り行政の弊害  不法残留者にも接種、国が通報免除…会場周辺で取り締まり行わず

 厚生労働省が、新型コロナウイルスの感染防止対策として外国人にワクチン接種などを進める際、不法残留などの事実が判明しても入管当局に通報しなくてよいとする見解をまとめ、都道府県などに通知していたことが分かった。
接種しやすい環境を整え、地域社会に感染が広がるリスクを抑えるのが目的。見解を受け、茨城県大洗町は在留期限の切れた不法残留者への接種を始めた。

 入管難民法では、公務員に対し、国外退去の対象となる外国人の存在を入国審査官や入国警備官に通報する義務を課している。
このため、不法残留者が通報を恐れて疫学調査や接種に協力しない可能性があった。

 これについて、厚労省は6月28日、事務連絡の形で地方自治体に通知。それによると、強制退去の対象となる外国人にもコロナ対策を「適切に実施することが必要」とした。
その上で、公務員が通報義務を果たすと、接種などに支障が生じる場合、入管当局に「通報しないことも可能」と明記した。
ただ、通報しなくても「出頭を勧めることが望ましい」と追記した。

 大洗町は10月17日、在留期限の切れた外国人への接種を開始した。町内の外国人コミュニティーに呼びかけた結果、2日時点で227人から申請があり、キャンセルを除く225人が1回目の接種を終えた。

 町では、外国籍住民が人口の約5%を占め、4~5月には外国人家族を中心に感染が拡大した。
町は「ここで接種を進めないと、同じような感染拡大が起きうる」として接種を決めた。

 出入国在留管理庁や茨城県警は、厚労省や町の対応について読売新聞の取材に対し、「コメントしない」としている。
県警は「取り締まりを緩めるつもりはない」と強調しつつ、会場周辺で接種者を狙った取り締まりを行う可能性は否定している。

  国士舘大の鈴木江理子教授(外国人政策)の話 「正規の滞在資格を持たない外国人の多くは、密集した環境で生活したり就労したりしており、感染リスクが高い。安心してワクチンを接種できれば彼らの生命が守られ、日本社会の感染拡大を抑制できる。ワクチン接種と取り締まりは切り離して考えるべきだ」

2021.11.03

法律の不備 不法滞在の外国人、実刑判決の半数が難民申請 現行法で送還できず

 送還を拒否するなどして収容が長期に及ぶ不法滞在外国人のうち、懲役3年以上の実刑判決を受けた刑法犯が昨年末時点で約310人に上り、うち難民認定申請中が約150人と半数近くを占めることが18日、分かった。
申請を繰り返すケースもあり、申請中は本国へ送還できない「送還停止効」の悪用も疑われる。
政府与党は難民認定申請に上限を設定する入管難民法改正案の今国会成立を見送ったが、こうした問題は先送りされることになる。

入管当局は不法就労などで国内に残留する外国人を摘発し、退去処分後に出国するまで原則、施設に収容している。
年間で約1万人は処分に応じ出国するが、本人が拒否したり、本国が強制送還に応じなかったりする外国人は昨年末時点で約3100人に上る。
このうち約2440人が病気などの理由で収容施設から「仮放免」されている。

約3100人の中で不法滞在以外に罪を犯し、懲役3年以上の実刑判決を受けた人は約310人で、うち約150人が難民認定申請中だ。
懲役5年以上は約180人中約90人、懲役7年以上は約90人中約50人が難民認定申請している。

たとえば、あるアジア人の男は強制わいせつ致傷罪で懲役4年の実刑判決を受け、仮放免中に強姦致傷罪(現強制性交等致傷罪)で懲役6年の実刑判決を受けたが、現在2回目の難民認定を申請している。
アフリカ人の男は恐喝などの罪で懲役2年6月の実刑判決を受け、仮放免中に強姦罪(現強制性交等罪)で懲役5年など2度の罪を犯し、4回目の申請中だという。

送還停止効は入管難民法で規定され、本人から難民認定申請があった場合、審査中は本国へ送還できない。
申請には上限がなく、許可の見込みがなくても申請を繰り返す悪質なケースに対応できなかった。

改正案では難民申請に2回の上限を設定。
懲役3年以上の実刑判決を受けた場合には送還できる条件も付した。
これまで法相の裁量で例外的にしか認められなかった「在留特別許可」を本人からの申請制にし、難民申請が許可されない場合の救済措置としていた。

立憲民主党など野党は難民保護機能の低下が懸念されることなどを理由に上限設定に反対しているが、改正案の今国会成立が見送られたことで、悪質な難民認定申請の根絶が遠のいた形となる。

2021.05.18