資格のない外国人を働かせた中国人を逮捕

国から必要な許可を受けていない中国人の男女3人を不法に働かせたとして、中国人の男が神奈川県警に逮捕されました。

入管法違反の疑いで逮捕されたのは、中国籍で東京都北区に住む孫広寧容疑者です。
県警によりますと孫容疑者は、ことし4月から7月にかけて東京都江東区にある倉庫で、在留資格以外の活動許可を受けていないいずれも中国人で20代の男女3人を不法に働かせた疑いが持たれています。
孫容疑者は3人に対して雇用面接を行い、国から許可されていない医薬品や化粧品などの検品や梱包等の作業を指示していたとみられています。
県警の調べに対し孫容疑者は「逮捕された事実については黙秘します」などと話しているということです。

2021.12.3

送還拒否の3分の1に前科 改正法再提出へ

送還を拒否するなどして出国させられない不法滞在国人約3100人のうち、過去に日本で罪を犯し有罪判決を受けた外国人が約1千人に上ることが29日、分かった。
複数の政府・与党関係者が明らかにした。出入国在留管理庁は実態調査を進めており、来年の通常国会で再び入管難民法改正案の提出を目指す。 入管当局は不法就労などで国内に残留する外国人を摘発し、退去処分後に出国するまで原則、施設に収容している。年約1万人は処分に応じて出国するが、本人が拒否したり、本国が送還に応じなかったりする外国人は昨年末時点で約3100人に上る。
うち約2440人は収容施設から「仮放免」され一般社会で生活するが、別の約420人は仮放免後に逃亡し手配されている。 約3100人のうち日本の刑事裁判で有罪判決を受けたのは約1千人。
そのうち約730人が仮放免中で別の約100人は仮放免後に逃走した。複数の罪に問われたケースも含め、罪種別で最多は薬物関係法令違反で約630件。次に入管難民法違反約420件、窃盗・詐欺が約290件と続く。強盗約60件や性犯罪約30件、未遂を含む殺人約10件と重大犯罪も含まれる。
この約1千人のうち約470人は難民認定を申請している。現行法では審査中は本国へ送還できない「送還停止効」があり、申請回数に上限がない。認定の見込みがないのに申請を繰り返す悪用も疑われる。
治安に悪影響を及ぼす事例も起きた。警視庁目白署が今月12日に強制性交等容疑でパキスタン人の50代の男を逮捕したと発表。
容疑は東京都豊島区で20代女性に声をかけ、近くの公園のトイレで性的暴行を加えたとされる。
この男は過去にも性犯罪の前科があり入管当局から退去処分後、仮放免中に犯行に及んだことが判明。難民認定も申請していた。
施設の収容力に限界がある中で仮放免が増え、治安維持に懸念が生じている。政府は今年の通常国会で難民申請に2回の上限を設け、退去処分に従わない場合に刑事罰を新設する入管難民法改正案を提出したが、難民保護の機能低下が懸念されると野党が反対したため取り下げていた。

縦割り行政の弊害  不法残留者にも接種、国が通報免除…会場周辺で取り締まり行わず

 厚生労働省が、新型コロナウイルスの感染防止対策として外国人にワクチン接種などを進める際、不法残留などの事実が判明しても入管当局に通報しなくてよいとする見解をまとめ、都道府県などに通知していたことが分かった。
接種しやすい環境を整え、地域社会に感染が広がるリスクを抑えるのが目的。見解を受け、茨城県大洗町は在留期限の切れた不法残留者への接種を始めた。

 入管難民法では、公務員に対し、国外退去の対象となる外国人の存在を入国審査官や入国警備官に通報する義務を課している。
このため、不法残留者が通報を恐れて疫学調査や接種に協力しない可能性があった。

 これについて、厚労省は6月28日、事務連絡の形で地方自治体に通知。それによると、強制退去の対象となる外国人にもコロナ対策を「適切に実施することが必要」とした。
その上で、公務員が通報義務を果たすと、接種などに支障が生じる場合、入管当局に「通報しないことも可能」と明記した。
ただ、通報しなくても「出頭を勧めることが望ましい」と追記した。

 大洗町は10月17日、在留期限の切れた外国人への接種を開始した。町内の外国人コミュニティーに呼びかけた結果、2日時点で227人から申請があり、キャンセルを除く225人が1回目の接種を終えた。

 町では、外国籍住民が人口の約5%を占め、4~5月には外国人家族を中心に感染が拡大した。
町は「ここで接種を進めないと、同じような感染拡大が起きうる」として接種を決めた。

 出入国在留管理庁や茨城県警は、厚労省や町の対応について読売新聞の取材に対し、「コメントしない」としている。
県警は「取り締まりを緩めるつもりはない」と強調しつつ、会場周辺で接種者を狙った取り締まりを行う可能性は否定している。

  国士舘大の鈴木江理子教授(外国人政策)の話 「正規の滞在資格を持たない外国人の多くは、密集した環境で生活したり就労したりしており、感染リスクが高い。安心してワクチンを接種できれば彼らの生命が守られ、日本社会の感染拡大を抑制できる。ワクチン接種と取り締まりは切り離して考えるべきだ」

2021.11.03